旦那です。

ドイツに来て3か月です。

ドイツ人はよく日本人と国民性が似てると言われることがあって、
勤勉でキチっとしているというなイメージがあると思いますが、
実際はそんなことはないと最近分かってきました。
お仕事民族日本人に比べるとまだまだです。

他のヨーロッパ人に比べるとはるかにマシなのは確かにそうですが、
「やるやる!」からの全然やらない、いわゆる「やるやる詐欺」にはけっこう出くわしますし、
「行く行く」からの来ない、「送る送る」からの送らない、「あとでチェックする」からの覚えてないは日常茶飯事です。
あと、時間にもそこまでキチっとしてません。
そして、絶対に謝りません。


この前労働ビザの延長申請をしたときに事件は起きました。

ドイツに来る前に日本で労働ビザが取れるんですが、
これは90日限定なので、ドイツについてから延長申請をしないといけません。

申請に必要な書類は山ほどあるんですが、そこは会社が雇ってくれたエージェントがいて面倒を見てくれたので、
言われるがままに書類のコピーを送り続けてやっといてもらいました。

で、やっといてもらったんですが、
申請と受け取りは本人が行かなあかんということで、
外国人局でエージェントと待ち合わせをすることに。

当日は12時に申請の予約が取れたから10分前の11時50分に集合と言われたんので
11時過ぎぐらいに会社を抜けて駅に向かうと、
なんと電車が止まってます!

まぁ電車が意味不明に止まることはよくあるんですが、
なにせ予約は1か月待ちやったもんで、これを逃したら今のビザが切れてまうので、
さすがにこの申請は遅れたらあかんやろと
公共交通期間で遠回りして行くのは諦めて、慌ててタクシーを捕まえて、
なんとか11時45分頃に集合場所に駆けつけました。

集合場所にエージェントがもう来とるかなーと思ったんですが、まだいません。

で、まぁまだ5分あるしと思って待ち始めたんですが、
50分を過ぎても来ず、55分を過ぎても来ず、
なんと予約の12時になっても来ず、
電話しても出ず、
結局12時15分ぐらいに「ハッロー!」とか抜かしながら笑顔でやって来ました!

いやいや、ビザの申請やで!
予約も1か月待ちやったやん!
そもそもこういう遅れたあかん場合は余裕を見て集合時間のちょい前ぐらいに来るのが当たり前やろ!
どんな理由で遅れたんや!
と思って彼女の言い訳を待っていると、


「ごめんごめん!向かい風が強くて自転車が進まんかった!」


とかいうマンガでしか見たことない都市伝説クラスの言い訳が飛び出して来ました!
向かい風が強くて遅れた、は都市伝説ではなく実在しました。

完全に虚を突かれた僕は「じゃあしゃーないな!」と言うのが精一杯でした。


ちなみに予約した担当の人も遅れていたので申請自体は全然ふつうにできました。




さて、今回は賃貸戦国時代のベルリンでのおうち探しの模様を書いていこうと思います。

「いやいや、戦国時代とかそんな大袈裟な。どうせ無茶な条件言うとるんでしょ?旦那さん。物件なんか不動産屋行ったらすぐ見つかりますやん」とか思ってるそこのあなた。


僕も最初はそう思ってました。

まさか物件捜索開始から2か月後も般若の形相で毎日物件情報サイト巡りをしているとは思ってませんでした。



だってだって、
日本やと物件なんか山ほどあるし、
やれタワーマンション乱立だとか
やれ空き家問題だとか、
やれ空室率が高くて不動産投資が怖いだとか、
やれ人口減少やとか、

この辺の話を背景に、どちらかと入居者側が選ぶ権利があって
不動産屋に相談に行ってその日に決まるというのも珍しくはないと思いますし、
なんなら賃下げ交渉だってできますよね。

賃貸戦国時代は大家さん側の話なんですね、日本では。



こっちではモロに入居者側が戦国時代です。

僕が外国人やから
まだこっちに来て日が浅いから
試用期間中やから
ドイツ語喋られへんから

その辺の話がもちろん不利に働いてくるのは当たり前ですが、
長く勤めている職場のドイツ人の同僚でさえも
「カップルで同棲したいから物件探してやっと見つかったけど、30件見てやっと決まった」とか
「マジで物件ないから通勤に1時間ぐらいかかる郊外の家にした」とか
「半年探しとるけどまだ見つかってない」とか
そんなのが当たり前の状況なんですよね、こっちでは。




じゃあなんでそんなに戦国時代やねんと。




まず、僕はルームシェアカルチャーが原因の一つやと思ってます。

前回も書きましたが、ドイツではルームシェアがかなり一般的です。

単身の人で一人暮らしをしている人に出くわす機会はほとんどなく、
基本的には老若男女関係なくシェアをしているのが当たり前という感じです。

なんでこんなに一般的なのか。
理由を考えていて思い当たったのは、部屋の間取りです。

というのも、
その辺の都会のど真ん中にあるマンションであっても、ワンルームみたいな間取りはあまり見かけなくて、
ふつうは2LDKとか3LDK、あるいは4LDKみたいな間取りになっていて、
その分家賃が高いというのがこっちでは一般的なようです。

旅行とかしとって田舎のメシ屋に入って
「え、なんかこれちょっと高くない?ここ」
「失敗したか」
と思って頼んだらお値段以上の量が出てきて「なるほどな」となるあの方式です。

居酒屋行って、
「え、刺身盛り2500円高くない?」
「まぁでも刺身食べたいし」
と思って頼んだら船盛りで出てきて「なるほどな」となるあのやつです。

要は少なくて安いの選択肢がないんですね。

なので、シェアして各自が自分の部屋に住んで、自分の分だけ払う仕組みでないとそもそも借りれないという事情があるんやと思います。 
 
あとは、シェアをしているとキッチンや洗濯機、冷蔵庫などの家電や家具などをシェアできるのでトータルでみて効率がみたいですね、どうも。


で、このルームシェアがなんで悪さをしてくるんかというところなんですが、
ほとんどの人がこういう感じでシェアをしているとなると、
家族用に2LDK まるまるどーんと借りたいんですよ僕たち!となっても
向こうはシェアしていて、全員が同時にいなくなることなんかないので、
そもそもそういう物件が世に出回っている数が少なくなってしまうんやと思います。
シェアは比較的簡単に見つかります。


加えて、ベルリンの場合は特に背の高いマンションみたいなものはあまり見かけず、
昔からある最高でも6階建てぐらいの石作りの古い建築がかなり多いです。

日本だと特に東京なんかやと過密な人口を捌くために
めちゃんこ小さいワンルームがぎっしりのマンション立ててみたりとか、
低層のアパートぶっ壊して高層マンション立てたりとか、
そういう感じでせまーいところに住むのが当たり前になっていたり新陳代謝がかなりあると思います。

こっちはそういう新陳代謝はあまりなく、リノベーションで内側と建物の外観だけやるのが一般的で、
ワンルームであったとしても40平米ぐらいあったりとか、そういう感じなのでスペースがもう全く足りてないという感じなんやと思います。


で、結論として家族向けの物件が足りないと。


まぁまぁ、探し始めたらあれやこれやで理由はいっぱいあるんでしょう!
でもみなさん賃貸戦国時代がどれほどのもんか想像はついてないと思うので、
ここからは実際に僕がアパートを見て回ったときのエピソードを紹介していきます。


■プレンツラウアーベルグの物件1

プレンツラウアーベルグはベルリンの中心からちょい北東ぐらいのエリアで、超人気エリアです。

このプレンツラウアーベルグは旧東ドイツなのですが、
ベルリンではおもしろいことやイベントはたいてい旧東ドイツエリアで起こります。
なのでベルリンのベルリンらしい空気を味わうには東に住むのがええんですね。

ただその代わり、道が汚かったり治安が良くなかったり落書きまみれやったりするんですが、
プレンツラウアーベルグは違います。

プレンツラウアーベルグは旧東ドイツの各所に簡単に行けるとともに、
道や建物もきれいで、公園も多くて、若い世代に人気のあるエリアです。
つまりはえぇとこどりなエリアなんです。

僕もせっかく海外に住むなら、郊外に住んでました、みたいなのよりは
いろいろイベントや雰囲気を感じれるところに住みたいと、
しかも子どもがいても公園なんかにアクセスの良いエリアに住みたいと、
そう思ってこのエリアで探してみたところ、この物件を見つけました。

立地がめちゃくちゃ良く、間取りも1LDKで60平米ぐらいあって、写真を見る限りきれいそう。

これはえぇがな応募しよと思って説明を読んでいると、

public viewing : ○月○日 ○○時~ 

と書いてあります。

そうなんですね、
日本やと、不動産屋さんに行って、
不動産屋さんといっしょにおうちを見に行って、
それで決めるという方式やと思うんですが、
大家さんが絶大な権力を握るこっちでは事情が違います!
希望者は大家さんが決めた日時に行って内覧をしなければなりません!

日本みたいに自分らだけで行って見れることもありますが、
不動産検索サイトみたいなところを経由した場合は、ほぼそんなことはないと思った方がいいと思います。
というか、連絡しても返事なんか来ません。

で、この日程や時間も完全に向こうに合わせないとダメで交渉の余地は微塵もないんですが、
このときは夕方の4時半~というふざけた時間帯でした。

いやいや、4時半て。
ふつうみんな仕事しとるやろまだ。
いや、待てよ。逆に言うとみんな来られへんからチャンスちゃうか?

そう思った僕は当日朝7時に職場に行き4時に切り上げてパブリックビューイングに向かいました!



近くに来ると、めっちゃ良い雰囲気のエリアじゃないですか!
栄えているエリアも徒歩圏やのに、閑静で落ち着いていて、
大きな公園にも徒歩で行ける、完璧な立地やないか!

お値段もお手頃やし、これは掘り出し物やなと。
完全に当たりやなと。
もう今日これに決めて帰ろうと。
そう思いながら肝心のアパ―トを探します。

えーっと、
○○通りの○○番地やからここを右に曲がって、
次を左に曲がって、
あぁ、あそこの人だかりのあたりか。



ん?




人だかりのあたり?





なんや人だかりて。






えぇ、掘り出し物件ではありましたが、掘り出したのは僕だけではなかったんですね。
僕以外にも40人の方が掘り出していらっしゃいました。


40人の大人が真剣な顔で大家の到着を待ってます。

この日もまぁまぁ風が強かったですが、
にもかかわらず集合時間10分前にドイツ人がこんだけおるということからも彼らの真剣さが伺えます。

なんやなんやこれどうなってしまうんや。

ということでその2に続く。