旦那です。
ブダペストには、日本に進出したいハンガリー企業を支援しているコンサルタント企業があります。
実は、僕が内定をいただいた企業は日本に進出し始めたばかりということで、
先週、 そのコンサルタントとうちとの間で会議があるということで、参加してきました。
会議の趣旨は、「日本の仕事文化を知ろう」と言うもので、うち側が質問してコンサルタントがそれに答えるという形式のものです。
会議は、コンサルタントが1人、うちのお姉さんが2人、おれの4人。
いろいろな内容の会話が繰り広げられたんですが、僕には驚きの連続でした。
例えば、意思決定とその後の仕事の取り掛かりに関してはこんな話がありました。
「日本は、意思決定までの時間は長いけど、その後の取り掛かりや仕事の内容に関しては、非常に速い」
ハンガリーは、意思決定までは速いけど、その後に問題が噴出したりして、仕事が進むのが遅い」
とか
「日本は、グループで意思を決定することが多く、責任者がリーダーシップと責任を持って決定を下すことは少ない。その代わり、既に合意がとれているので、意思決定後の仕事は速い」
「日本では、紙に合意すべき内容を書いて、それを何人もの上司のところに行って印鑑をもらってきたりする必要がある」
とかいう話も出て、
そっか、やっぱそういうとこって日本的なんやなーとか思ってました。
で、他にもいろいろ話が出たんですが、一番驚いたのはこのくだりです。
コンサル「一番大事なのは、一度言った期限は絶対に守ってください。2日かかるといって3日かかると、これは絶対に許されません」
おれ「いやいや、そらそうやろ」
お姉さん「え、マジで?!」
おれ「え、マジで?!」
そこが驚きどころなんやということに驚きました。
日本育ちのうちの奥様がハンガリーの職場でこの文化に散々困っているという話を何回も聞いていたんですが、
やっぱりそうなんや。
そういえば、先日うちの会社のエンジニアの人と話をしていたときに、労働時間の話になったときも、
おれ「そういえば、いつも何時に来て何時に帰るの?」
エンジニア「おれは9時~18時かな。でも、早く帰りたい日は早く帰るしね。厳格な締め切りがあるときは残ったりもするけど」
おれ「ふーん、そうなんや。早く帰るときは、上司になんか言うたりすんの?今日は早く帰りますとか」
エンジニア「いや、特にないかな。普段から締め切りとか仕事の進め具合について合意をとっておくことが大切やね」
おれ「そうなんや。でも、例えば締め切りを遅めにしてもらったのに、早く帰るのって気まずくない?」
エンジニア「ううん」
おれ「じゃあ、例えば、合意した締め切りに間に合わない可能性が出てきたけど、でもどうしても用事があって帰らないとあかん場合はさすがに上司に相談する?」
エンジニア「ううん。帰る」
エンジニア「別に遅れとったとしても、用事なくても定時で帰るよ?」
エンジニア「上司が残ってって言ったら、相談の上、残るときもある」
へーこういう文化なんやなーと思いました。
日本やとあり得ないですよね。
もちろん、個人差、企業差はあると思いますが、基本的にはこういうことのようです。
他にも会議中に出てきた話題はこんな感じでした。
■プレゼンについて
日本:
詳細に詳細に細かい点についても漏らさず書くことが大事。特に、会社についての自己紹介のときは、正直に企業規模などについて具体的な売り上げとか、実績とか、従業員数とか、しっかり書くべき。
ハンガリー:
スタイリッシュな、スティーブジョブスのようなプレゼンが良い。
大学では、6行ルールという、1ページに6行以上書かないというルールを教わる。
■ ビジネスと信頼関係について
日本:
まず、お互いの信頼関係を結ぶことから始める。その後、ビジネスの契約に至る。そのため、取り返せないかもしれないお金がとてもかかる。
ハンガリー:
まず、ビジネスを始める。その後、信頼がおけないなと思ったら、契約を切られる。
■公私の切り替えについて
日本:
職場と家庭で違うことを言っているのが普通。会社では、会社の役職としても自分を貫くし、忠誠心が高い。
プライベートでは全然違うことを言っていても、それは多重人格ではない。
ハンガリー:
ハンガリーサイドの特徴について言及はなかったんですけど、公私ともに一貫した意見を言う場合が多いんでしょう。
■お客様とのやりとりについて
日本:
基本的には、社長としゃべる場合は社長が、部長としゃべる場合は部長が、といった具合に、階級の同じ人が話すのが普通。
ハンガリー:
ハンガリーサイドの特徴について言及はなかったんですけど、てんで違うこともあるんでしょう。
■会議中について
日本:
基本的に、あまり活発に喋らない。たまにシーンとなったりする。
ハンガリー:
めちゃくちゃ喋る。誰も喋らない時間は、とても気まずい。
とかとか。
このどれも、ハンガリーの人は、へーっていう感じで聞いていたので、やっぱり不思議なことなんやろうなと思いました。
でも、僕にとっては、やっぱり普通のことばっかりなんです。
なんで驚くのかわからんというか。
自分はけっこうヨーロッパナイズドされてる方やと思ってましたけど、
全然まだまだでした。
あと最後に、おもしろかったのはこの会話。
お姉さん「この前、日本の企業の人にプレゼンしたんです」
お姉さん「で、プレゼンが終わった後も、しばらくの間、3分ぐらい誰もしゃべらないんです」
お姉さん「あれは何の間だったんでしょうか。彼らは私たちのプレゼンが気に入らなかったんでしょうか。考え事をしているんでしょうか。でも、質問してくる様子もありません」
お姉さん「こちらから、質問ありますか?って聞いた方がよいのでしょうか。あの場をどうすればよいのか、何が正解なのか教えてください」
コンサル「いくつか可能性がありますが、単に彼らは、おそらくあなたのプレゼンの内容が理解できなかったんだと思います」
お姉さん「じゃあ彼らはなぜ質問しないんですか?」
コンサル「それは、面目が潰れるので彼らにはできないことなんですよ」