ハンガリーに暮らして1年以上たったころ、親が遊びにきました。

紆余曲折があってベネチアで集合をしたのですが、 うちの親は携帯を持っていません。

普通に。思想とかじゃなく。

「何時、何分、ここにいてね。絶対に動いたらあかんで!!」

というちょっと昔風のスタイルになります。

(勿論、実際にはこれをロシア語で言うわけだけど)


このベネチア集合の前後でいろんな出張と締め切りがたてこんでいて、

「世界を飛び回るようなかっこいい仕事をしたい」と思っていた私の

夢体現ウィークでしたが、けっこうよろよろ… 

人間はみんな平等に一日24時間をもっているけど、 やりたいこと・やるべきことが

大量にある時に削るのは、言わずもがなですが睡眠時間です。 

ということでしゃぁなし一日5時間睡眠(といっても5時間は確保しているんだけど)を

繰り返していることをふとした話の流れで同僚(ロシア人)に言ったところ、

「きゃー信じられない!女性にとって睡眠はすっごく大切よ!

寝てないとシワが増えるわよ。寝なさい!」 と怒られました。 

やりたいことをやりきるか、シワが増えるか。

うぅぅぅううううーーーー苦渋の選択だけど、なんとか増えたシワを伸ばす方向で!

論点ズレ、そして大きく脱線しました。


一緒に旅する人によって観るものがちょっと変わるのが面白いですよね。

ハイキング好きな親のおかげでベネチアから車で1時間ちょっとのところにある

めちゃくちゃキレイなドロミーティ山脈(Delomites)を訪れる。

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それにしても、日本に帰った時にこんな写真をみせて

「ベネチアらへんに行ってきました!」 って言われたらみんな戸惑うだろうなぁ。

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こんな山を歩いた後に夕方からベネチアに戻ってディナーまでできる。 

なんだかオイシイかんじなのです。

そして、有名な水上バスですが、乗るなら夜!ということが分かりました。

闇の中にぼおっと浮かび上がる桟橋。

ところどころに点在するランタンのような灯り。

ドアの前の階段は海の中へと消えていく。

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ところどころの小さな劇場みたいな窓が照らされ、

大きなシャンデリアの光のもとでタペストリーと

ところぜましに並べられた本がちらちら見える。

ベネチア全体が大きな劇場で華やかなゴーストタウン。

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朝日に照らされたベネチアもゴーストタウンっぽさを残しつつも

もう少し生きているまちのふりをする。

200以上の小さな島が400以上の橋でつながれているので

ラビリンスみたいにどこにもまっすぐたどり着くことができない。


初めてガイドさんの説明をききつつまちを回ってみた。

例えば、有名な仮面の由来。

その昔、ベネチアは今のラスベガスみたいなまちで、

町人や旅人たちが年間で5ヶ月はギャンブルをしていたとか。

でも身分の高い人がギャンブルをしてるのをみつかると大変なことになる。

ステイタスが落ちる。

何者であるかを隠しつつ悪いこと(これ、売春含む)をするために仮面が流行したらしい。

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ベネチアの中心にあるサンマルコ教会はどこからか盗んできた

キリスト教の聖人の骨を奉るためにたてられ、中は金で煌めいているが、

その内装は制服したコンスタンティノープル(今のトルコ)から略奪したものばかり。

教会自体の歴史はそこまでだけど、内装のマーブルなどなどは

教会よりもずっとずっと古い。 

「ここは我々にとって、イギリス人にとっての大英博物館のようなもの。

ベネチアの力と富を見せつける場なのです」 とガイドさんが言っていた。

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ガイドさんが人気のない通りに潜り込んだかと思うと、

そこはなんとマルコポールが21年アジア放浪をした後に

スリランカやインド経由でベネチアに帰ってきて、買った家だったりする。

かなりボロボロの家だが、ビザンチン風の窓回りの装飾や、

回廊のレースのような彫刻から往事の華やかさが垣間見える。

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そんな場所をベネチアは無数に懐に隠しているようだが、

みせたりみせなかったりがやっぱり劇場だ。

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親と別れてハンガリーに向かうために電車に乗った。

イタリア国鉄の従業員は大規模ストライキ中で本当につけるかドキドキ。

たまたま横に座った老婦人(かなり高齢)が堪能な英語を話していてびっくり。

オーストリア人だが、結婚してもう52年イタリアに住んでいるという。

英語、フランス語、ドイツ語(これが母国語)、イタリア語を話し、

80歳の今も翻訳の仕事をしているという!

「頭の体操みたいなものね」と言っていたが、

この言語使いこなし感は体操というよりは大車輪かバク転ぐらいの気がする。

昨日は親戚と湖に浮かぶ島で大会合を開いて、みんなでお酒を飲みながら

W杯サッカーを楽しんでいたと言っていた。 なんだかよい。 


私も70歳なっても80歳なっても、できれば90歳ぐらいでも何かしら仕事をしていたいなぁ。

「頭の体操よ」とか言いながら。

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おばあちゃんも一緒に念を送ってくれたおかげで ストライキにも

負けず無事に帰れたのでした。  

イタリアは素晴らしいところいっぱいだけど、

でも私はやっぱりストライキをしないハンガリーで暮らすのが好きかな